保護者向け 2026.08.07
子供が「スケボーをやめたい」と言い出したとき、親はどうすればいい?
子供が「スケボーをやめたい」と言い出したとき、親はどうすればいい?
「あれだけスケボーをやりたがっていたのに、突然やめたいと言い出した」
子供用のスケートボードやヘルメットをそろえ、毎週楽しそうにスクールへ通っていたのに、急にそんなことを言われたら、保護者は戸惑うと思います。
「もう少し頑張ってほしい」
「すぐに投げ出す子になってほしくない」
「せっかく道具もそろえたのに」
そう思ってしまうのも、決しておかしなことではありません。
ただ、子供の「やめたい」という言葉が、そのまま「スケートボードが嫌いになった」という意味とは限りません。
上達できなくて苦しいのかもしれない。
誰かと比べて落ち込んでいるのかもしれない。
転倒して怖くなったことを、うまく説明できないのかもしれない。
パークやスクールでの人間関係が原因かもしれません。
僕は30年以上スケートボードを続け、現在はLESQUEというスケートボードブランドを運営しながら、茨城県土浦市のGrafferで子供たちのスクールにも関わっています。
今回は、子供が「スケボーをやめたい」と言い出したときに、保護者がどのように向き合えばいいのかを、現場で感じてきたことをもとに書いていきます。
結論:すぐに励えず、まず理由を探してみる
子供から「やめたい」と言われたとき、最初から、
「もう少し頑張ってみようよ」
「せっかくここまで続けたんだから」
「諦めたらもったいないよ」
と説得するのは、あまりおすすめしません。
子供からすると、本当の気持ちを聞いてもらう前に、続けることを決められたように感じるからです。
大切なのは、
「そうなんだ。何かあった?」
「最近、どんなところが楽しくない?」
と、まず理由を聞くことです。
続けさせるか、やめさせるかを決めるのは、そのあとで十分です。
「やめたい」の裏にある5つの理由
理由は子供によって違いますが、スケートボードをやめたいと言い出したときには、次のような原因がよく隠れています。
1.練習しても上達しない
スケートボードは、練習した分だけ毎回きれいに上達していくスポーツではありません。
しばらく変化がないように見えて、ある日突然できるようになることがあります。
しかし、子供本人は、
「こんなに練習しているのに、全然できない」
「自分には向いていない」
と感じているかもしれません。
特に、一つの技を長く練習しているのに成功しない時期は、スケートボード自体が嫌になったような言い方をすることがあります。
最近できるようになったことがあるかを聞いてみて、「何もない」と答えるようなら、上達を実感できていない可能性があります。
2.周りの子と比べて落ち込んでいる
同じ時期に始めた友達が先に技を覚えた。
自分より年下の子が上手に滑っていた。
大会に出たけれど、思うような結果を出せなかった。
このようなことが続くと、子供は自信を失います。
保護者が比べていなくても、本人がSNSやパークで周りの子を見て、勝手に比べてしまうこともあります。
「○○君はもうできている」
「自分だけできない」
という言葉が増えているなら、技術ではなく自信の問題かもしれません。
3.転倒やケガで怖くなった
大きく転んだ。
頭や体を強く打った。
ほかの子がケガをする場面を見た。
こうした経験をきっかけに、急に滑れなくなる子もいます。
ただ、子供は必ずしも「怖い」とは言いません。
恥ずかしさや悔しさから、
「つまらない」
「面倒くさい」
「もうやりたくない」
という言葉に変わることがあります。
以前まで練習していた技や場所だけを避けるようになった場合は、恐怖心が関係していないか確認してみてください。
4.パークやスクールの人間関係が合わない
スケートボード自体は好きでも、練習する環境が嫌になっていることがあります。
パークで嫌なことを言われた。
上手な子が多くて入りづらい。
仲の良かった子が来なくなった。
コーチやクラスの雰囲気が合わない。
このような場合、子供がやめたいのはスケートボードではなく、その場所へ行くことかもしれません。
「スケボーをしたくない」のではなく、「あの曜日には行きたくない」「あのパークは嫌だ」と言っていないか、よく聞いてみましょう。
5.親の期待を重く感じている
これは、子供からはなかなか言い出しにくい理由です。
保護者としては応援しているつもりでも、
「今日はこの技をできるようにしよう」
「せっかく来たんだから、もっと練習しなさい」
「大会に出てみたら?」
という言葉が、子供にとってプレッシャーになっていることがあります。
親が見ているときだけ表情が硬い。
失敗した直後に、親の顔を確認する。
コーチよりも親の指示を気にしている。
そのような様子がある場合は、少し距離を取ることも必要です。
上達しなくて嫌になった場合は、目標を小さくする
大きな目標だけを追い続けると、できなかった日のすべてが失敗に見えてしまいます。
例えば「オーリーを完成させる」という目標は、停滞している子には遠すぎるかもしれません。
そんなときは、
- テールを地面に当てて音を出す
- 板の上で安定してしゃがむ
- 前足を動かす練習を10回する
- 前回より少しだけ高く跳ぶ
というように、目標を小さく分けてみてください。
その日に達成できる目標があると、子供は再び上達を感じられるようになります。
過去の動画が残っている場合は、半年前や1年前の映像を一緒に見ることもおすすめです。
本人は「何も変わっていない」と思っていても、昔の映像を見ると、立ち方やスピード、板の扱い方が大きく変わっていることがあります。
「こんなに上手くなったよ」と大人が何度も説明するより、映像を見せるほうが本人に伝わります。
比べるなら、ほかの子ではなく過去の自分と比べる
子供に「人と比べなくていい」と言っても、完全に比べないようにするのは難しいと思います。
それなら、比べる相手を変えてみましょう。
「○○君よりできたか」ではなく、
「先月の自分より何ができるようになった?」
と聞いてみてください。
スケートボードは、体格、筋力、性格、練習できる回数などによって、上達する速さが大きく変わります。
すぐにできる子もいれば、時間をかけて覚える子もいます。
早く覚えることだけが正解ではありません。時間をかけて身につけた経験が、その後の粘り強さにつながることもあります。
怖くなった場合は、一度できるところまで戻る
恐怖心は、
「大丈夫だから」
「怖がらなくていいよ」
と説明するだけでは、なかなか消えません。
そんなときは、無理に同じ技を続けるのではなく、一段階前の練習まで戻りましょう。
高い場所が怖いなら、低い場所へ戻る。
スピードが怖いなら、ゆっくり進む練習へ戻る。
技が怖いなら、板に乗らずに動きだけ確認する。
できることを繰り返して、「自分は大丈夫」という感覚を取り戻すことが大切です。
同じ場所へ無理に立たせ続けると、技だけではなく、パークへ行くこと自体が嫌になってしまう場合があります。
休むことや戻ることは、逃げではありません。
長く続けるために必要な練習の一つです。
人間関係が原因なら、環境を変えてみる
人間関係の問題は、子供本人の努力だけでは解決できないことがあります。
その場合は、
- スクールの曜日を変える
- 利用する時間帯を変える
- 別のクラスを試す
- 違うスケートパークへ行く
- しばらく親子だけで滑る
といった方法を試してみてください。
環境を変えるだけで、以前のように楽しそうに滑り始める子もいます。
「ここで続けられなければ、どこへ行っても同じ」
と考える必要はありません。
合わない環境で我慢を続け、スケートボードそのものを嫌いになってしまうほうが残念です。
安心して練習できる場所を探すことも、大人ができるサポートだと思います。
親の期待が重くなっているなら、少し見ない時間をつくる
保護者が熱心だからこそ、子供の上達が気になってしまいます。
しかし、子供にとっては、親に失敗を見られることがプレッシャーになる場合があります。
一度、送迎だけして練習中はコーチへ任せるなど、子供が親の視線を気にせず滑れる時間をつくってみてください。
練習が終わったあとも、
「今日は何ができた?」
と成果だけを聞くのではなく、
「今日は楽しかった?」
「どんなことをやったの?」
と聞いてみると、子供も話しやすくなります。
毎回の練習に成果がなくても構いません。
友達と笑った。
気持ちよく滑れた。
前より怖くなくなった。
それもスケートボードを続ける大切な理由です。
本当の理由を話してくれないときは、横に並んで話す
子供に向かい合って、
「どうしてやめたいの?」
と真剣に聞くと、かえって答えにくくなることがあります。
質問されている、正解を求められていると感じてしまうからです。
そんなときは、
- 車で移動しているとき
- 一緒に歩いているとき
- 食事をしているとき
- パークの端に座っているとき
- 道具を片づけているとき
など、同じ方向を向いている場面で話してみてください。
すぐに答えが返ってこなくても、急かす必要はありません。
子供自身も、自分がなぜやめたいのか分かっていないことがあります。
「話したくなったら教えて」
と伝え、話せる時間を残しておくことが大切です。
それでも「やめたい」が続くなら、いったん離れてもいい
理由を聞き、環境や練習方法を変えても気持ちが戻らない場合は、本当に興味が別のものへ移ったのかもしれません。
そのときは、無理に続けさせなくてもいいと思います。
ただし、やめるときに責めないでください。
「せっかく高い板を買ったのに」
「また途中で投げ出した」
「もう二度と買ってあげない」
と言われると、子供はスケートボードへ戻りたくなっても言い出せなくなります。
「分かった。いったん休もう」
「また滑りたくなったら教えて」
それくらいで終わらせておけば、戻るための扉は開いたままです。
数か月後や数年後、友達に誘われて再び乗り始める可能性もあります。
スケートボードは、必ず毎週続けなければいけないものではありません。
少し離れても、また乗りたくなった日に戻れるところも、スケートボードの良さだと思います。
「やめたい」は、子供からのサインかもしれない
僕自身、30年以上スケートボードを続けてきましたが、ずっと同じ気持ちで滑り続けてきたわけではありません。
ケガをしたとき。
全然上達しなかったとき。
周りだけがどんどん上手くなっていくように感じたとき。
仕事や生活が忙しくなったとき。
距離を置きたくなったことは何度もあります。
それでも続けてこられたのは、意志が強かったからというより、少し離れても戻れる場所や仲間がいたからだと思います。
子供の「やめたい」も、最終的な結論ではなく、
「今、少し苦しい」
「うまく説明できないけれど、何かを変えてほしい」
というサインかもしれません。
無理に気持ちを変えようとする前に、その言葉の奥に何があるのかを一緒に探してみてください。
まとめ:続けさせることより、戻れる場所を残すこと
子供が「スケボーをやめたい」と言い出したときのポイントをまとめます。
- すぐに励ましたり説得したりせず、最初に理由を聞く
- 上達を感じられない場合は、目標を小さくする
- ほかの子ではなく、過去の自分と比べる
- 「つまらない」「面倒くさい」の裏に、恐怖心がないか確認する
- 怖くなっている場合は、できる練習まで一度戻る
- 人間関係が原因なら、曜日や場所などの環境を変える
- 親の期待が重くなっていないか振り返る
- 本音を聞くときは、向かい合うより横に並んで話す
- 本当にやめたい場合は、責めずにいったん離れる
- 「またやりたくなったら戻っておいで」と伝える
スケートボードは、続けた期間の長さだけで価値が決まるものではありません。
転びながら立ち上がったこと。
できなかった技に挑戦したこと。
仲間と一緒に笑ったこと。
たとえ一度離れたとしても、その経験がなくなるわけではありません。
親が無理に引っ張り続けるのではなく、子供が戻りたくなったときに戻れる場所を残しておく。
それが、長くスケートボードと付き合うための大切な支え方だと思います。
茨城県土浦市のGrafferでは、子供向けのスケートボードスクールを行っています。
技術だけでなく、恐怖心や練習の停滞、スクールへ行きたくなくなったときのことも含めてご相談いただけます。
近くにスクールがない方や、普段の練習方法について相談したい方には、オンラインスクールもあります。
子供がいったん立ち止まったときこそ、続けさせることだけを急がず、その子の気持ちを一緒に考えてみてください。