ケガ 2026.08.11
スケボーで多いケガTOP5|現場で感じる原因と現実的な防ぎ方
スケボーで多いケガTOP5|現場で感じる原因と現実的な防ぎ方
スケートボードを始めるとき、保護者の方が一番心配するのは、やはりケガだと思います。
スケートボードは、何度も失敗しながら技を覚えていく遊びです。転ぶことを完全になくすことはできません。
ただし、
「どこをケガしやすいのか」
「どのような場面で起きるのか」
「何を準備すれば防ぎやすくなるのか」
を知っていれば、ケガのリスクは減らせます。
今回は、30年以上スケートボードを続け、現在は茨城県土浦市のGrafferで子供たちを見ているイトシンが、現場でよく見かけるケガを5つ紹介します。
なお、今回の順位は公的な統計ではなく、僕がスクールやスケートパークの現場で見てきた経験をもとにしたものです。
痛みや腫れが強い場合、頭を打った場合、時間が経っても症状が改善しない場合は、自己判断せず、医療機関に相談してください。
結論:ケガを減らすポイントは「装備・転び方・やめどき」
スケートボードで多い擦り傷や軽い打撲を、完全になくすのは難しいと思います。
しかし、大きなケガにつながりやすい場面には、ある程度共通点があります。
- 防具を着けていない
- 正しい転び方を知らない
- 実力以上の高さやスピードに挑戦している
- 疲れているのに練習を続けている
- シューズやスケートボードが消耗している
つまり、ただ漠然と「スケボーは危ない」と考えるのではなく、起きやすい場面を知って準備することが大切です。
第1位:膝・肘・手のひらの擦り傷
Grafferの現場で最もよく見るのが、擦り傷です。
どのような場面で起きる?
板が小石などに引っかかって急に止まったときや、バランスを崩して前方へ転んだときに起こります。
反射的に手をついたり、膝から地面へ落ちたりするため、膝、肘、手のひらを擦りやすくなります。
擦り傷を防ぐ方法
- 長ズボンをはく
- 膝あてと肘あてを着ける
- 必要に応じて手のひらを保護する
- 路面に小石や異物がないか確認する
- 最初に安全な転び方を練習する
特に長ズボンは、手軽にできる対策です。
夏は暑いため半ズボンで滑りたくなりますが、膝を直接地面に擦るのと、布が一枚あるのとでは違います。
もちろん、長ズボンだけですべての擦り傷を防げるわけではありません。それでも、初心者や低年齢の子供には有効な対策の一つです。
第2位:腰・お尻・膝・肩の打撲
擦り傷の次によく見るのが打撲です。
特に、バンクやランプなど、スケートパークのセクションを使い始めた時期に増える傾向があります。
どのような場面で起きる?
多いのは、後ろへバランスを崩したときです。
前へ転ぶ場合は手や膝が先に出ますが、突然後ろへ倒れると、腰やお尻、肩などを直接ぶつけることがあります。
高さのある場所でバランスを崩した場合は、平らな場所よりも衝撃が大きくなります。
打撲を防ぐ方法
- 最初から高いセクションへ挑戦しない
- 膝を軽く曲げ、重心を低くする
- 平らな場所で乗り降りや停止を練習する
- 低い場所から段階的に高さを上げる
- 疲れてきたら練習を終える
子供は、できそうだと思うと高い場所へ行きたがります。
ただし、「怖くないこと」と「安全にできること」は同じではありません。
まずは低い場所で、姿勢や板から降りる動きを身につけてから、少しずつ挑戦することが大切です。
第3位:スネを打つ「シンヒット」
オーリーなどの技を練習し始めると増えるのが、板でスネを打つケガです。
スケーターの間では「シンヒット」と呼ばれています。
どのような場面で起きる?
オーリーや板を回転させる技に失敗すると、跳ね上がったデッキがスネに当たることがあります。
スネの前面は骨に近いため、強く当たるとかなり痛みます。
大きなケガにならなくても、その痛みや恐怖によって、子供が練習を続けられなくなることがあります。
シンヒットを減らす方法
- 長ズボンをはく
- 必要に応じて、すねあてを使う
- 失敗したときの板からの離れ方を練習する
- いきなり強く板を弾こうとしない
- 疲れた状態で何度も繰り返さない
シンヒットを完全に防ぐのは難しいと思います。
だからこそ、当たったときの衝撃を装備で軽減しながら、失敗したときに板の真上へ落ちない感覚を身につけることが現実的です。
第4位:手首や前腕のケガ
頻度だけなら擦り傷や打撲より少ないものの、骨折などにつながる可能性があるため、特に注意したいのが手首です。
どのような場面で起きる?
転倒した瞬間に、腕をまっすぐ伸ばして手のひらを地面につくと、手首や腕の一部分に大きな衝撃が集中します。
とっさに手が出るのは自然な反応です。
しかし、スピードが出ているときや、高さのある場所から落ちたときに身体を手だけで支えようとすると、大きなケガにつながる可能性があります。
手首のケガを防ぐ方法
- 最初に転び方を練習する
- 腕を突っ張って、手だけで身体を支えようとしない
- 膝あてを使い、膝から滑り込む動きを覚える
- 必要に応じてリストガードを使う
- 初心者のうちはスピードを出しすぎない
リストガードは有効な装備ですが、防具だけに頼るのではなく、転び方も一緒に覚えることが大切です。
Grafferでは、技を教える前に、板から安全に降りる方法や転び方を練習します。
地味に見えるかもしれませんが、最初に覚えておけば、その後のスケート人生で長く役立つ技術です。
第5位:足首の捻挫
足首の捻挫も、技の練習を始めると起こりやすくなります。
一度痛めると、回復が不十分なまま滑ることで繰り返す場合もあるため、注意が必要です。
どのような場面で起きる?
- 板の縁に片足だけ乗った
- 片足が板に残ったまま着地した
- ジャンプ後に足の外側から着地した
- 足元がずれた状態で体重がかかった
このような着地の失敗で起こります。
足首の捻挫を防ぐ方法
- 両足で着地する練習をする
- 低い場所から飛び降りて、着地だけを確認する
- 靴底が極端にすり減ったシューズを使い続けない
- 疲れているときに高さのある技へ挑戦しない
- 足首に違和感がある日は無理をしない
技そのものだけでなく、失敗したときに安全に着地する練習も必要です。
派手ではありませんが、「どう飛ぶか」と同じくらい「どう降りるか」が重要だと思います。
頭部のケガは順位とは別に考える
頭部のケガは、Grafferで頻繁に起きるものではありません。
ただし、起きた場合の影響が大きいため、順位とは別に考える必要があります。
特に後ろへ転んだときは手が出にくく、後頭部を地面に打つ可能性があります。
これが、初心者や子供にヘルメットをすすめる大きな理由です。
ヘルメットは、頭の形とサイズに合い、前後左右に大きくずれないものを選んでください。あごひもも正しく調整する必要があります。
また、頭を打った場合は、本人が「大丈夫」と言っていても、その日の練習は中止してください。
意識や受け答え、吐き気、頭痛、眠気、ふらつきなど、普段と違う様子がある場合は、速やかに医療機関へ相談してください。
頭部については、現場だけで判断すべきではありません。
ケガが増えやすい3つの条件
ケガの種類は違っても、起きやすい状況には共通点があります。
1.疲れている
ケガは、練習の後半に増えます。
疲れてくると足が上がらなくなり、反応が遅れ、普段ならできる動きでも失敗しやすくなります。
子供は楽しいと、自分が疲れていることに気づかない場合があります。
「まだやりたい」という気持ちは大切ですが、低学年のうちは大人が様子を見て止めることも必要です。
2.高さとスピードが出ている
高い場所から落ちたり、速い状態で転んだりすれば、それだけ身体に大きな衝撃が加わります。
初心者のうちは、まず平らな場所で、
- 乗る
- 進む
- 曲がる
- 止まる
- 安全に降りる
という基本を身につけてください。
その後、本人の技術と恐怖心に合わせて、少しずつ高さやスピードを上げていきます。
3.道具が消耗している
本人の技術ではなく、道具の状態が原因になることもあります。
- 靴底がすり減っている
- 靴ひもがほどけている
- ウィールが正常に回らない
- トラックのネジが極端に緩んでいる
- デッキにひびや大きな損傷がある
- 防具のサイズが合っていない
滑る前に少し確認するだけでも、道具が原因となる転倒を減らせます。
Grafferで「後半に新しい技を始めない」理由
僕がスクールで意識していることの一つが、練習の後半に新しい技を始めさせないことです。
子供は「あと少しでできそう」と思うと、疲れていても何度も挑戦します。
気持ちは分かります。僕自身も、若い頃から何度も同じことをしてきました。
しかし、疲れているときは、本人が思っている以上に身体が動きません。足が上がらない、反応が遅れる、着地で踏ん張れない。そのような状態で新しい技へ挑戦すると、ケガの可能性が高くなります。
そのため、新しい挑戦は、まだ集中力と体力がある前半に行います。
後半は、すでにできる技を確認したり、低い難易度でフォームを整えたりする時間にします。
技術だけを考えれば、最後まで何度も挑戦させたほうがよいように見えるかもしれません。
しかし、ケガをして何週間も滑れなくなるより、今日は途中でやめて、次回また挑戦するほうが、長い目で見れば上達につながります。
「今日はやめておく」も大切な技術
ケガが多い子には、「やめどきを自分で決められない」という共通点があるように感じます。
これは性格が悪い、我慢ができないという話ではありません。
楽しいから止められない。
あと少しでできそうだから諦めたくない。
友達が挑戦しているから自分も続けたい。
その気持ちは、スケーターとしてとてもよく分かります。
だからこそ低学年のうちは、周囲の大人が止めてあげる必要があります。
そして、成長に合わせて、
「今日は疲れているから、ここまでにする」
「足首に少し違和感があるから休む」
「この技は次回、元気なときに挑戦する」
と、自分で判断できるようになってほしいと思います。
攻めることだけがスケートボードではありません。
自分の身体の状態を知り、長く続けるために止まる判断をすることも、大切なスケート技術の一つです。
保護者が滑る前に確認したいチェックリスト
子供が滑り始める前に、次の点を確認してみてください。
- ヘルメットのサイズとあごひもは合っているか
- 膝あてや肘あてがずれていないか
- 靴ひもがほどけていないか
- デッキやウィールに異常がないか
- 路面に小石や水たまりがないか
- 子供が寝不足や体調不良ではないか
- 前回痛めた場所に違和感が残っていないか
- 練習時間が長くなりすぎていないか
すべての転倒を防ぐことはできません。
それでも、滑る前の数分間で減らせるケガはあります。
まとめ:怖がらせるのではなく、正しく準備する
Grafferの現場でよく見かけるスケボーのケガをまとめると、次の5つです。
- 膝・肘・手のひらの擦り傷
- 腰・お尻・膝・肩の打撲
- スネを打つシンヒット
- 手首や前腕のケガ
- 足首の捻挫
特に覚えておいてほしいポイントは、次のとおりです。
- 擦り傷は、長ズボンやプロテクターで軽減できる
- 手首のケガを減らすには、最初に転び方を覚える
- 初心者や子供には、サイズの合ったヘルメットを用意する
- 疲れてきたら、新しい技へ挑戦しない
- 靴やスケートボードの状態を定期的に確認する
- 痛みや違和感がある日は無理をしない
- 頭を打ったら練習を中止し、必要に応じて医療機関へ相談する
子供に「危ないからやめなさい」と言い続けるだけでは、スケートボードの楽しさまで失われてしまいます。
大切なのは、危険を知らないまま挑戦させることでも、すべての挑戦を止めることでもありません。
必要な装備を用意し、転び方を覚え、段階を踏んで挑戦する。そして疲れたときには止める。
この習慣があれば、ケガのリスクを減らしながら、スケートボードを長く楽しめると思います。
茨城県土浦市のGrafferでは、初心者の方に、技より先に乗り降りや止まり方、安全な転び方を教えています。
ヘルメットやプロテクターの貸し出しもあるため、まだ道具を持っていない方でも体験できます。
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ケガを必要以上に怖がるのではなく、正しい準備と知識を身につけて、安全にスケートボードを楽しんでいきましょう。