ケガ 2026.09.03
成長期の子どもとスケボーの練習量|膝や足の痛みを「成長痛」で終わらせないために
成長期の子どもとスケボーの練習量|膝や足の痛みを「成長痛」で終わらせないために
「子どもが膝を痛がっているんですが、このまま練習を続けても大丈夫でしょうか?」
スケートボードスクールをやっていると、保護者の方からこうした相談を受けることがあります。
痛みが出るのは、ほとんどがスケボーを一生懸命やっている子です。上手くなりたいから何度も挑戦する。新しい技ができそうになると、疲れていてもやめられない。
その気持ちは、スケーターならよく分かります。
ただ、成長期の子どもの場合、痛みを我慢して練習を続けることが、必ずしも上達への近道になるとは限りません。
最初に大切なことを伝えておくと、痛みが続く場合や、普段と違う動きが見られる場合は、練習だけで判断せず、整形外科などの医療機関へ相談してください。
この記事では病名や原因を判断するのではなく、スケートボードを教える現場から見た「練習量との向き合い方」について書きます。
スケボーは、思っている以上に同じ動作を繰り返す
スケートボードは、同じ動作を何度も繰り返すスポーツです。
オーリーを練習するだけでも、板を弾き、ジャンプして、両足で着地する動きを何十回、何百回と繰り返します。
できそうでできないときほど、子どもはやめません。
「あと一回」
「次はいけそう」
そう言いながら続けているうちに、同じ場所へ負担が積み重なっていきます。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、子どもの激しすぎる運動やオーバーユース(使いすぎ)は、体の故障につながる可能性があると注意を促しています。
体を動かすことはもちろん大切です。しかし、たくさん運動すればするほど良いという単純な話ではありません。
「成長痛だから大丈夫」と決めつけない
子どもが膝や足を痛がると、つい「成長痛じゃない?」と考えてしまうことがあります。
しかし、日本整形外科学会は、痛みをすべて成長痛として放置せず、訴えが続く場合は整形外科で原因を確認する必要があると説明しています。
指導者や保護者が、痛みの原因を見た目だけで判断することはできません。
特に、
- 痛みが何日も続いている
- 歩き方や滑り方が普段と違う
- 片足をかばっている
- 腫れや強い痛みがある
- 日常生活にも影響が出ている
このような場合は、無理に滑らせず、専門家へ相談してください。
「滑っているときは痛くない」と本人が言っても、それだけで大丈夫とは判断できません。練習が終わった後や翌朝に痛みが出ていないかも確認する必要があります。
子どもは、痛くても言わないことがある
子どもが痛みを隠すことは珍しくありません。
理由は単純で、痛いと言ったらスケボーを休まされると思うからです。
楽しいから滑りたい。友達と一緒に練習したい。大会が近い。もう少しで技ができそう。
その気持ちが、痛みより勝ってしまいます。
だから大人は、本人の「大丈夫」だけではなく、実際の動きも見る必要があります。
こんな変化がないか確認する
- 着地でいつも同じ足をかばっている
- 以前やっていた技を急に避けるようになった
- 高さのある技やジャンプ系の練習を嫌がる
- 休憩が増えたり、座り込む時間が長くなった
- 練習後や翌朝になると痛がる
- スケボー以外の時間でも歩き方が違う
一つだけで異常と決めつける必要はありませんが、普段と違う状態が続いているなら、練習量を見直すサインです。
練習は「できるまで」ではなく、時間で区切る
新しい技を練習するとき、「できるまでやろう」とすると終わりがありません。
調子が悪い日は、疲れとともにフォームが崩れ、着地も雑になります。それでも無理に続けると、同じ部分に負担が集中します。
そこでGrafferでは、一つの技だけを長時間続けず、途中で違う練習を入れることを大切にしています。
例えば、
- オーリーを練習したら、次はプッシュやターンをする
- 高さのある技の後は、基礎的な動きへ戻る
- 疲れてきたら、動画を撮ってフォームを確認する
- 成功しなくても、時間が来たらその日の練習を終える
「できなかったから、もっとやる」だけが練習ではありません。
調子が悪い日に無理やり続けるより、少し休んで、次の日に良い状態で挑戦したほうが、あっさりできることもあります。
完全に滑らない日を作る
毎日練習していると、休むことが怖くなる子もいます。
「休んだら下手になる」
「ほかの子に抜かれる」
「昨日できた技ができなくなるかもしれない」
そう思ってしまうからです。
でも、休みを入れたからといって、それまで積み重ねたものがなくなるわけではありません。
国の学校部活動に関するガイドラインでは、オーバーユースを防ぐ考え方として、週2日以上の休養日を設けることや、活動時間を平日2時間程度、休日3時間程度までとする例が示されています。
これはスケートボードスクール専用の基準ではありませんが、「休まず毎日、長時間やることが正解ではない」という一つの目安にはなります。
学校、体育、ほかのスポーツなども含めて、子どもが一週間にどれくらい体を使っているかを見てあげることが大切です。
痛みが出たら、まず練習を止めて相談する
痛みが出たときに、「痛くない練習へ変えれば大丈夫」と自己判断するのは危険です。
まず負担のかかる練習を止め、必要に応じて医療機関へ相談し、その指示に従ってください。
再開できる状態になった場合も、いきなり以前と同じ練習量へ戻すのではなく、少しずつ体を慣らしていきます。
例えば、
- 軽いプッシュやターン
- すでに安定してできる基礎技
- 高さや衝撃の少ないトリック
- ジャンプやセクションを使った練習
というように、負担の少ない内容から段階的に戻していきます。
ただし、実際にどの動きから再開できるかは、痛みの場所や原因によって変わります。ここでも、受診した場合は医師や専門家の指示を優先してください。
止めることも、コーチの仕事
僕自身、長くスケートボードを続けてきて、痛みがあっても滑っていた時期があります。
休むと下手になるような気がして、調子が悪くても練習を続けてしまう。その結果、余計に長く滑れなくなる。
大人でもそうなのだから、夢中になっている子どもが自分で止まるのは難しいと思います。
以前は、やる気のある子を止めることに少し抵抗がありました。
せっかく頑張っているのに、やる気を削いでしまうのではないかと思っていたからです。
でも今は、「今日はここまでにしよう」と言うことも指導の一つだと考えています。
その日に技を決めさせることだけが、コーチの役割ではありません。
子どもが来年も、3年後も、その先もスケートボードを楽しめる状態を作ることのほうが大切です。
今の1か月より、3年後も滑れていること
スケートボードは、短期間で完成するものではありません。
何年も続けながら、少しずつできることが増えていく遊びです。小学生のときだけ上手ければいいわけではありません。
今の1か月で急激に上手くなることより、3年後も元気に滑っていること。
大会の結果も大切ですが、長くスケートボードを好きでいられること。
そのためには、練習する日と同じように、休む日も必要です。
休むことはサボることではありません。
次に良い状態で滑るための、スケートボードの一部です。
まとめ
成長期の子どもの練習について、特に覚えておいてほしいことは次の5つです。
- 痛みが続く場合は「成長痛」と決めつけず、医療機関へ相談する
- 「滑っているときは平気」だけで判断せず、練習後や翌朝の状態も確認する
- 同じ技だけを長時間繰り返さず、基礎練習や休憩を挟む
- 学校やほかの運動も含めて、一週間全体の運動量を考える
- 休むことも、長く上達するために必要な練習だと伝える
茨城県土浦市のGrafferでは、技を教えることだけでなく、子どもが無理をしていないか、普段と違う動きをしていないかも確認しながらスクールを行っています。
練習量や練習内容について心配なことがあれば、コーチまで気軽に相談してください。
※この記事はスケートボード指導現場での考え方を紹介するもので、診断や治療を目的としたものではありません。痛みや異常が続く場合は、医療機関へご相談ください。
参考: